まずは箸で一掬い、ゆっくりと味わって頂きたい 2016年07月13日

米の品種は数多くあり、さらに年々、品種改良などによってその数は増加している。しかし、一定の地域でのみ生産される品種や、生産されてから間もない品種はなかなか一般市場には出回らず、みなさんの目に触れる機会が少ないだろう。

米の品種をひとつ挙げてみてほしい、と言われたら、貴方なら何を挙げるだろうか。
地域差はあるが、やはり、多く目に留まる「あきたこまち」や「コシヒカリ」を挙げる人が多いのではないだろうか。
今回紹介するのは、そんな「コシヒカリ」の中でも、長野県で生産された「氷温熟成米」の「コシヒカリ」である。

まず、米が美味しく育つ条件として、「水が豊かである」「昼と夜の温度差が激しい」「広く平らな土地である」などが挙げられる。この条件を満たす地域が「米どころ」として有名になっており、豊かな名水や清流を抱く長野県は、美味しい米が育つのに適した環境と言えるだろう。
 
この成長段階でもたっぷりと旨みを蓄えた米を、この「氷温熟成米」は、さらに美味しく食べられるように手をかけている。その名の通り、氷温でじっくりと熟成させてから精米することによって、旨み成分を増幅させているのだ。本来、米が一番美味しく食べられる時期というのは、米の収穫が行われてすぐに精米された「新米」の時期である。新米時期から時が過ぎ、さらに、梅雨や夏の暑さを迎えるころになると、どうしても食味が落ちてしまうことが多い。 しかしこの「氷温熟成米」は、氷温での熟成技術によって、新米の美味しさを損なうことなく保っている。

炊き上がりのごはんを見てみると、まず、白く光るような艶があるのを感じられる。実際に食べてみれば、程好い硬さがありしっかりとした米であることがわかるが、何といっても特筆すべきは、噛んだ時に感じる粘りと甘みだろう。「コシヒカリ」は元来、米本来の甘みがよく感じられる品種ではあるが、ここまで強い甘みを感じるのは「氷温熟成米」ならではであると考える。さらにこの粘りと甘みは、ご飯が冷めた後も強く感じられた。

米の楽しみ方は様々だ。
しかし、この「氷温熟成米」を味わう際には、まず一掬いのご飯を、そのご飯だけで口に運んで頂きたい。噛むたびに甘みが広がり、米本来の旨みを楽しむことができるだろう。冷めた後も美味しさが続くこのお米は、塩むすびにも最適だと考える。これからのレジャーシーズンのお供に、是非ともおすすめしたい品種の一つだ。