宮城の雄、「だて正夢」。 2018年03月16日

近年、良食味品種の開発や高単価米のブランド化が全国各地で行われています。これまでにない食味を持つおコメが続々とデビューしており注目を集めていますが、それと同時に産地間競争も激化してきています。中でも東北以北に関しては、北海道から福島まで毎年のようにデビューを飾っており、まさの「おコメの戦国時代」と言われる所以となっております。そんなおコメの濫立する中、コメ処・宮城県からも新品種が登場しました。それが今回ご紹介する、「だて正夢」です。

宮城県と言えば、「ひとめぼれ」や「ササニシキ」がやはりメジャーなおコメとして名を馳せています。「ひとめぼれ」は、他のレビューでも触れていますが、スーパーの店頭など量販店での販売や、大手コンビニエンスストアのおにぎりやお弁当に使われるなど、市販用から業務用まで非常に汎用性の高い銘柄で、味・香り・粘りのバランスが良い広く人気のあるおコメです。一方「ササニシキ」は、比較的あっさりとした食感で、コシヒカリと並ぶほど日本全国で広く普及していたおコメです。耐病性に少し劣り気象の被害を受けやすいことなどにより栽培が難しいことから、一時期の作付量と比較するとかなり減少傾向にありますが、数少なくなった現在でも寿司への好適米として長年愛されているおコメでもあります。

この2つの銘柄に新たなメンバーとして加わったのが、「だて正夢」。『みやぎ米の夢をかなえた、これぞ天下をとる旨さ』のキャッチフレーズのもと、29年産から県内を中心にプレデビューをしており、30年産から本格的に拡大していく予定です。食味の特徴は、なんといってももちもちの食感とおコメ本来の甘み。おコメはアミロースの含有量によっておコメのもちもち感が変わってくるのですが(※)、「だて正夢」は低アミロース米として位置づけられており、もちもち感と程よい粘りが旨さを引き出しています。(※アミロース値が高いとあっさりとした食味になり、低いと「だて正夢」のようなもちもち感が出ます。因みにもち米はアミロース値はゼロです。)
冷めても落ちない甘みと旨みもオススメするポイントの1つです。おコメは、炊き上がりすぐが美味しいのは当たり前のことですが、問題は時間が経った時の状態です。おコメの研ぎ方や炊くときの水分量の調節にもよりますが、時間が経つと乾燥して硬くなったり黄色くなったりしてしまうことがあります。「だて正夢」は、冷めてももちもち感が損なわれず、甘み・旨みが持続する特徴を持つので、おにぎりやお弁当に適しています。
また、先日いただいた際に個人的に感じたのは、香りの部分です。特徴である甘みと旨みを連想させる香りに、食欲を駆り立てられました。「ひとめぼれ」や「ササニシキ」にはない「だて正夢」の食味をより多くの方に味わっていただきたいです。

仙台藩初代藩主・伊達正宗をイメージさせる語呂とみやぎ米としての最高のおコメで天下をとりたいという作り手の夢をかなえた「だて正夢」。29年産ではまだプレデビューで販売数量も限られていますが、30年産の本格デビューではより多くの消費者の皆さんにお届けできるようになると思います。是非1度ご賞味ください|