ごはんで解決!~貧血は、鉄分を摂ることを気にするより胃腸の状態をよくすることを意識する~ 2021年11月01日

日本の女性の約6割が潜在的に貧血と言われています。最近は男性の貧血も増えてきていますね。少し動いただけでも息切れがする、疲れやすい、めまいや立ち眩み、冷え性や免疫力低下など、貧血による不調も増えています。

実は、鉄は吸収しにくい栄養素のひとつです。胃腸の状態が悪かったり、胃酸が少なかったりすると、より吸収しにくくなります。

私が貧血の人たちの相談にのってきた経験から言えば、鉄が足りない人よりも、鉄の吸収がうまくっていない人の方が多くいました。鉄分が豊富な食材や、サプリメントをいくらとっても、そもそも吸収がうまくいってない場合、貧血改善は望めません。特にサプリメントは、胃腸にかえって負担をかけてしまうことすらあります。さらに、エネルギーが不足していると、血液を作る作業も効率が悪くなりますので、エネルギー源である炭水化物の存在も無視できません。

胃腸を良い状態にしながら、貧血を改善したい場合、控えた方が良いものがあります。それは、さきほど少し触れましたが、サプリメントや鉄剤。こちらは胃への負担が大きく、かえって胃もたれや胃痛を起こす方もいます。また、野菜ばかりの食事も、たんぱく質とエネルギーが十分でなく、胃腸にも血液を作る作業にも負担になるので控えた方が良いです。また、「身体に良い」「貧血に良い」と言われているものも、多く摂りすぎない方がいい場合があります。例えば、レバー。脂質が多いため、非日常食ぐらいの頻度に抑えた方が、全体の食事バランスが取りやすくなります。そして、玄米。こちらは、確かに栄養素が豊富ですが、消化が悪いため、身体の中に栄養として吸収させるには、咀嚼がとても大切になります。日ごろから噛む習慣が身についていない・・・とか、食事の時間が長く取れない・・・場合は、玄米より白米の方が、結果、胃腸に負担をかけず効率的に栄養素を吸収できます。玄米は、是非、ゆっくり時間をかけられる時によく噛んで召し上がって欲しいものです。最近では、分づき米も人気ですね。精米の際に、糠や胚芽を残す方法です。3分づき、5分づきなど、数字が大きくなるほど白米に近くなります。お米屋さんや最近では、大手スーパーなどでも精米してくれるところもありますので、上手に活用してみてはいかがでしょうか。

そして、胃腸の状態を良くするのに簡単で効果的なのは、お米と大豆・・・・つまり、ごはんとお味噌汁です。毎日食べても胃腸への負担はなく、しっかり吸収できる優秀な鉄源にもなってくれます。

「栄養素」は摂ればいいわけではありません。吸収されて初めて、皆さんの身体になるのです。ですから、鉄分がすくない食材であっても、胃腸に負担なく毎日とれる食事の方が、結果的に早く貧血改善につながりますよ。

津田 慶彦プロフィール

  • 東京都生まれ。CVSの米飯商品マーチャンダイザーから米専門商社に転身し全国の米を食べまわる。自宅には電気炊飯器が無く、米は土鍋で毎日ガスで炊くと言うこだわり。好きな品種はササニシキ。好きなおかずはきゅうりの浅漬けと納豆。