ごはんで解決! ~これからブーム到来!口腔の健康もごはんから 2022年05月31日

5月最後の週末、全国各地で夏日(場所によっては真夏日)を記録したというニュースとともに報じられた「“国民皆歯科検診”検討開始」の知らせ。検討の背景には、歯の健康を維持して他の病気の誘発も抑え、医療費全体を抑制する狙いがあるそうです。実は、歯と他の健康は、切っても切れない関係にあります。今日は歯と健康の関係について少し触れたいと思います。

65歳以上の高齢者は、自身の歯を多く残す人ほど健康を維持し易く、入院回数が少ないことが明らかになっています。逆に歯周病などを放置すれば、糖尿病の合併症など大きな病気につながる可能性も指摘されています。口腔を健やかに保つことが、健康を維持する上ではとても大切だという事です。

生きていく上で必要なエネルギーや栄養をとるのも口からですよね。ご自身の歯で、しっかり噛むことが健康の第一歩になります。噛むことは脳への刺激になりますし、身体に負担なく効率的に栄養を摂り込む為にもとても大切なことです。

このコラムでは度々書いていますが、食事をとる上でとても重要なのは、形のあるものをしっかり噛んで食べるという事です。唾液は「噛むこと」で分泌されます。つまり、噛まないと唾液が出にくくなるのです。実は、唾液が少ないと、ビタミンやミネラルの吸収率が悪くなります。噛む回数で吸収率が変わるのだとしたら、しっかり噛まないともったいないですよね。

でも、長年の習慣で、急に噛む回数を増やすことは難しいのも事実です。例えば、人間には、味を感じると飲み込むという反射(嚥下反射)がある為、味の濃いものはすぐに飲み込んでしまいます。私が「ごはん」をおススメするのは、パンや麺類に比べて、無意識に噛むことができる食事だからです。そして、丼ものや味付けご飯ではなく、定食スタイル(ごはん+お味噌汁)を提案するのは、嚥下反射が起きにくく、また、食材を大きく切ることによって、自然と噛む回数を増やせるからです。ごはんを中心に添えた定食スタイルの食事は、実は、「しっかり噛む」ことを実現し易い食事です。

ストレスなくよく噛む食事を楽しむためにも、「歯の健康」が大事になりますし、しっかり噛んで唾液をたっぷり出す事で、栄養の吸収率が変わったり、様々な健康効果にもつながります。口腔環境を整えるには、唾液をしっかり作り出せる「噛める食事」が有効です。

スムージーやヨーグルト、野菜ジュースなどは、ヘルシーなイメージもありますが、「咀しゃく」という観点から、おやつなどの捕食として楽しみ、出来るだけ食事は「ごはん」を中心に添えたものにし、口腔機能を健やかに保ちたいものですよね。

柏原 ゆきよ先生プロフィール

  • 一般社団法人 日本健康食育協会 代表理事 一般社団法人 食アスリート協会 副代表理事 一般社団法人 日本こども成育協会 アドバイザー 管理栄養士

    4万人以上の食サポートの経験から、日本人の体質とライフスタイルに着目し、お米(雑穀米)を主軸に「しっかり食べて太らないカラダづくり」を目指す独自のメソッドを確立。 これまで多くのトップアスリートや企業経営者、モデルなどへ食生活サポートやアドバイスを行い、テレビ・新聞・ラジオ・雑誌など多数のメディアに出演。 子どもから高齢者、女優やトップアスリートなど幅広いクライアントへの結果の出るアドバイスに定評がある。 20年におよぶ健康ブランディングの専門家として社員研修やメニュー開発、大人向け食育セミナーの監修、上場企業や全国の地方自治体と健康プロジェクトを推進するなか、「健康食育マスター講座」を主宰し、健康食育の専門人材育成にも力を注いでいる。 また、2008年より定食チェーン大戸屋の食育プロジェクトにて、社員研修、メニューアドバイス、食育セミナーの監修などを行う。 著書は、『~ズボラな人に朗報!~食べて飲んでおなかからやせる』(かんき出版)、『お腹からやせる食べかた』(講談社)など累計 10 万部を超える。 そのほか、食べてやせる具体策をお届けする無料メルマガ『おなかやせメール』も人気となっている。