津波で甚大な被害を受けた農業の復興シンボル 2016年07月04日
岩手県陸前高田市。2011年3月11日14時46分、未曽有の大地震が発生。数時間後、同市を大津波が襲った。日本百景にも数えられた白砂青松の高田松原は津波に飲まれ跡形もなく消え去った。市を南北に流れる美しく豊かな気仙川の流域と沿岸部には平地や段丘があり、市全域が特定農山村地域に指定され、平坦地のほとんどの農地で稲作が行われていたが、大津波は気仙川を遡り豊かな水田をも飲みこみ、陸前高田市の稲作は壊滅状態に陥った。生きる糧を失った生産者さんの失望感は計り知れない。
大津波は「道の駅 高田松原」を飲みこんだ
震災直後、津波による甚大な被害を受けた水田で稲作を再開するには数年がかかると言われたが、2012年6月上旬、海と山に囲まれた、岩手県陸前高田市米崎にある地元農家今野さんの1.5反歩の水田で、「たかたのゆめ」の苗植えが行われた。震災からわずか1年3ヶ月である。陸前高田市の水田で、もう一度お米を作りたいとの一心から成し遂げられたことだと思うと頭が下がる。そのような生産者、関係者の「たかたのゆめ」にかける強い思いを感じながら炊飯した。
口にすると、優しく柔らかい味わいを感じたが、決してべたついている訳では無くしっかりとしたコシも感じる。食味は甘みはあるがあっさりといていて、味の濃い肉系のおかずによく合うと感じた。おしんこなどのご飯の友にもよく合い食が進む。津波によるがれきと海水が入り込んで塩害を受けた水田で作ったとは思えないほどの美味しいお米であった。
農業復興のシンボル、陸前高田の夢と希望をのせた米、「たかたのゆめ」 復興支援の一言では片づけられない地元の熱い想いがこもった米である。
平成28年は約55haに「たかたのゆめ」が作付された。